■3日目 ナポリへの列車
夕方5時に、Termini駅の Deposito Bagagli(荷物預け所)で荷物を引き取り、すぐにナポリ行きのIC(インターシティ。快速列車のようなもの)に乗ることにしました。
今出発すれば、まだ明るい時間(8時頃)にナポリに着けるはずです。
ナポリは治安が悪い事で有名なので、なるべく明るいうちに着きたい……
しかし、列車は定刻の30分遅れでした。 まあイタリアでは普通ですが。
ICは6人ずつの個室になっていて、そのうち4人は20代〜30代のイタリア人の男女でした。
列車が出発した直後から4人は楽しそうに話していたので、てっきり友人同士かと思っていたのですが、かなり話し込んだ後で「Piacere(初めまして)」と挨拶していたので、どうやら偶然乗り合わせた見ず知らずの方同士のようです。
イタリア人同士の会話ってこんな感じなのか〜
列車は、Termini駅を出発して1つ目の駅で止まり、イタリア人の方は1人降りました。
しかし、その後20分経っても出発しません。 これはおかしい。
これは、ひょっとして……
同室のイタリア人達は、
「私が思うに、銀行にお金を借りに行ってるんだと思うわ。」
「この電車を動かすためのお金? そりゃしょうがないな。」
などとイタリア語でジョークを飛ばしあっているようです。
そのうち、イタリア人の1人が
「もしかしたら Sciopero(ストライキ)かも。 私、ちょっと見てくるわ。」
と席を立ち、しばらくして戻ってきて
「やっぱり Sciopero だった。」
と言いました。
すると、3人のイタリア人の方たちは一斉に携帯電話をかけはじめました。
私のイタリア語力は大したこと無いのでいまいち聞き取れないのですが、どうやら
「マンマ、Sciopero に引っかかっちゃったよ。1時間くらい遅れそうだよ」
といったことを話しているようです(^^;
3人のイタリア人たちはローマからナポリの実家に帰る途中で、遅れると親に心配されるから電話してるんだよね……?
そうだと思いたい……
駅に着いてから30分ほど経過したころ、ようやく列車が動き始めました。
30分駅に止まり続けるストって何だったのだろう。
列車はしばらく順調に走り続け、やがて外が暗くなりました。
ナポリへは暗くなる前に着きたかったのですが、まあしょうがない。
私たちの客室に、突然ちょっと汚い風貌の男が入ってきました。
何を言っているのかいまいち分からないのですが、どうやらお金を分けてほしいようです。
こんな人にお金を分ける人なんて居るのか? と思って見ていたら、イタリア人のうち2人は1ユーロ硬貨を男にあげていました。
私も仕方なく1ユーロ硬貨を財布から取りだしたのですが、男は私に気づかずに他の部屋に行ってしまいました。
男にお金を渡したイタリア人の方は、私に
「別にあげなくていいよ」
みたいなことを言いました。
列車はその後も順調に走り続け、結局定刻より1時間半ほど遅れて夜のナポリにたどり着きました……
(つづく)
